株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)のリサーチャー小泉愛、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の 脳情報通信総合研究所 行動変容研究室Aurelio Cortese(アウレリオ コルテーゼ)室長、東京大学心理学研究室の今水寛教授、大畑龍研究員などのグループは、恐怖体験後に「忘れられない強い連合記憶」と「思い出せない弱い時系列記憶」という二つの矛盾する記憶効果を説明できるメカニズムを解明しました。
具体的には、恐怖体験直後は単純な連合記憶[1]に基づいて過度に恐怖の対象を広げることで危機的状況に備えるのに対し、翌日には時系列情報が統合されることで適度に恐怖の対象を狭める具体的なエピソード記憶[2]へと熟成していくという新しい現象を明らかにしました。さらに機能的磁気共鳴画像(functional Magnetic Resonance Imaging, fMRI)[3]から脳情報を解読する人工知能技術を応用し、恐怖記憶を司る脳回路への恐怖体験の時系列情報の付与に、海馬と背外側前頭前野の双方が関与する状態から背外側前頭前野中心の状態へと推移するメカニズムを解明しました。また、こうした脳機能の経日変化は、PTSD発症のリスクが高いとされる高不安者では見られにくいことから、時系列情報の統合がうまくいかないことにより、いつまでも恐怖体験直後かのように恐怖の対象を広げてしまう強い連合記憶の症状に悩まされつつ、時系列が支離滅裂になったエピソード記憶の症状にも悩まされる、という2つのトラウマ記憶の現象が生じると考えられます。本研究は恐怖体験の「忘れられない」も「思い出せない」も、どちらも包括的に説明するメカニズムを世界で初めて提唱することに成功しました。
強い恐怖を伴う記憶は、「忘れること」が難しく人を苦しめることがあります。例えば、自転車のベルを聞いた直後に車に衝突された場合、自転車のベルを聞くたびに恐怖がよみがえってしまうかもしれません。その反対に、恐怖記憶は、「思い出すこと」が難しくなり人を悩ますこともあります。例えば、車に衝突するまでに何がどのような順番で起きたのか思い出せない、というように一連のエピソードの時系列についての記憶が支離滅裂になってしまう場合もあります。これらの恐怖記憶の現象は、PTSDの発症に繋がる可能性もあります。しかし、これまでの研究では、「忘れられない」という現象と「思い出せない」という現象が互いに独立に研究されてきました。そのため、2つの現象を説明できる包括的なメカニズムは解明されてきませんでした。
私たちの脳は、いかにして「忘れられない」と「思い出せない」という2つの恐怖記憶の現象を生み出すのでしょうか?こうした問いに迫るべく、本研究は、連合記憶と時系列エピソード記憶の双方を形成する独自の実験パラダイムを開発しました。具体的には、自動車事故を模した映像を用い、信号音・カラスの鳴き声・自転車のベルといった自動車道では一般的に耳にする音が事故に先行して聞こえてくる順番を操作しました。このパラダイムを用いることで、事故直前に聞いた音を聞いた時に(音の時系列に関わらずに)恐怖が蘇るのであれば、音と恐怖の連合が恐怖記憶を司っていることがうかがえます。一方、事故当時と同じ音時系列が再現された時にだけ限定的に恐怖反応が蘇るのであれば、エピソード由来の時系列が恐怖記憶を司っていることがうかがえます。
また本研究では、エピソードに関わる時系列が恐怖記憶に取り入れられる過程を、人工知能技術の一つであるスパース機械学習アルゴリズム[4]を用いて解析しました。具体的には、まず、エピソード時系列に関わる空間的活動パターンを、スパース機械学習アルゴリズム[4]を用いて海馬や背外側前頭前野からデコード解読[5]しました。次に、海馬や背外側前頭前野から解読された時系列情報が、(扁桃体と腹内側前頭前野から形成される)恐怖記憶を司る神経回路の活動パターンから解読できるかを検証するというデコーディング解析を重ねる解析手法を用いることにより、海馬や背外側前頭前野に表象された時系列情報が恐怖記憶回路に取り込まれる過程を追いました。
本技術は健常者を対象とした模擬的な恐怖体験を題材とした基礎研究の段階にありますが、さらに慎重に検討を重ねることにより、実際のPTSD症状のメカニズム理解に繋げられる可能性が期待できます。
また、本成果は、恐怖記憶の介入手法について、新たな科学的知見をもたらすものです。本研究では、恐怖体験の当日から翌日にかけての海馬と背外側前頭前野の働きの変化が、恐怖記憶への時系列の統合において重要であることを見出しました。もし、事故などの実際のトラウマ経験の直後から翌日までの間に、海馬や背外側前頭前野の働きを整える介入ができれば、過度に恐怖の対象を広げやすい連合記憶から、適度に恐怖の対象を狭められるエピソード記憶への正常な熟成を促してPTSD症状を未然に防げる可能性があると考えられます。
図1Aにあるように、実験は①~③のステップで実施しました。①まず、模擬的な自動車事故にまつわる恐怖記憶を、安全な古典的実験手法[6]を応用したオリジナルの時系列条件付け課題(図1B-C)を用いて形成します。具体的には、自動車事故を模した映像を用い、事故が発生するタイミングに先行して信号音・カラスの鳴き声・自転車のベルといった音を特定の順番※で映像と共に流しました。これにより、もし単純な連合学習が成立すれば、事故直前に聞いた音を耳にしただけでも、恐怖反応が生じるようになります。しかし、もし事故エピソード由来の時系列情報も記憶に統合された場合は、事故時に聞いた音の順番が再現された場合に限定して恐怖が蘇るようになります。②その同日、約10分の休憩を挟み、被験者が連合学習に基づいて過剰に対象の広い恐怖反応を示すのか、時系列記憶に基づいて適度に対象の狭い恐怖反応を示すのかどうかをテストします。③その翌日、再び被験者の恐怖反応を②と同じ方法でテストしました。次に、各ステップの具体的な手順を説明します。 (※3種類の音刺激を用いましたが、事故エピソードで音が流れる順番は被験者間でランダム化しました。)
模擬的な自動車事故にまつわる恐怖記憶を、安全な古典的実験手法[6]を応用したオリジナルの時系列条件付け課題を用いて形成します(図1)。一般的な交通シーンを模した映像を用い、衝撃的な自動車事故に先行して、信号音・カラスの鳴き声・自転車のベルといった自動車道で一般的に耳にする3種類の音を特定の順番で映像と共に流しました。実験では、3種類の音が特定の時系列で提示された場合に限って、一定の割合(37.5%)で模擬的な自動車事故を経験します(図1B)。また、同じ3種類の音が別の2つの時系列で提示される場合もありましたが、その場合自動車事故は起きませんでした。つまり、被験者は実験中に同じ3種類の音を3パターンの時系列で聴きますが、1つの時系列パターン(時系列再現パターン)のみが自動車事故に固有であり、その他の2つの時系列パターンは事故とは無関連でした。恐怖反応の指標として、身体的な恐怖反応である皮膚発汗反応というこの研究分野では代表的な指標を用いました。 実験には、健常者44名が参加しましたが、2日目の実験の不参加や実験パラメタの事情により、42名分の皮膚発汗データ、うち41名分のfMRIデータを解析しました。
模擬的な事故を経験した同日、10分の休憩を挟み、恐怖記憶のテストを実施しました。被験者は、①と同様に、交通シーンを模した映像を繰り返し視聴します。各シーンでは、信号音・カラスの鳴き声・自転車のベルという3種類の音が、①と同様に3パターンの時系列のうちのいずれかで流れてきます。この②のテストでは事故は発生せず、①の恐怖経験による記憶に基づいた恐怖反応を検証することを目的としました。①で記述したように、3パターンの時系列のうち、実際に事故エピソードと結びついている時系列は1パターン(時系列再現パターン)のみです。しかし、残りの事故とは直接関係のない2パターンの時系列うちの、1パターンの時系列の最後に流れる音の種類(例えば、自転車のベル)は、恐怖時系列パターンの最後に流れる音の種類と同一でした。この最後の音の種類が恐怖時系列パターンと同一の時系列パターンを部分音再現パターンと呼ぶこととします。3つ目のパターンは時系列も最後の音の種類も時系列再現パターンとは異なるため、再現なしパターンと呼ぶこととします。もし、被験者が事故直近の最後の音と恐怖の間の連合学習をもとに恐怖体験を記憶していた場合、被験者は、音の時系列に関わらずに恐怖反応を示すと予測されます。
テストを実施した結果、被験者は時系列再現パターンと部分音再現パターンの双方に対して同じように(ベースラインの再現なしパターンと比べて)恐怖反応を示したことから、恐怖体験当日の時点では、事故エピソードにまつわる音の時系列ではなく、単純な音刺激と恐怖の連合学習に基づいて恐怖体験を記憶していることが示唆されました。
さらに翌日、②とほぼ同様の手順で恐怖記憶テストを同じ被験者に実施しました。すると、被験者は(ベースラインの再現なしパターンと比べて)時系列再現パターンに対して選択的に恐怖反応を示し、部分音再現パターンに対しては恐怖反応を示さなくなっていることが明らかになりました(図2)。つまり、恐怖体験当日には単純な音と恐怖の連合記憶が恐怖反応を制御していたにもかかわらず、その翌日には複雑な音の時系列エピソードの記憶が恐怖反応をするようになるという現象が明らかになりました。
一般的に、恐怖体験の直後のタイミングは、まだ身の回りに危険が溢れている可能性が高い状況です。私たちヒトは、そうしたタイミングでは、連合記憶に基づいて恐怖を制御することによって、危険を予測する可能性が少しでもある単純な刺激(今回の実験では音)に基づいて危険を予期して恐怖反応を幅広い場面で汎用的に示すことにより、危険に身を晒すリスクを下げようとするのかもしれません。一方、翌日には個々の刺激ではなく、複数の刺激から成るエピソード時系列に基づいて危険な出来事を想起することにより、恐怖反応が生じる場面を限定し、同じような危険に身を晒すリスクを最低限下げながらも日常生活を取り戻すことができるのかもしれません。
では、どのような脳メカニズムによって、恐怖体験の当日から翌日にかけて恐怖記憶が変化していくのでしょうか?本研究では、fMRI[3]で計測した脳活動シグナルを機械学習アルゴリズム[4]を用いて解析しました(図3)。具体的には、まず、様々な出来事の時系列を処理することが先行研究から示唆されている海馬や背外側前頭前野に着目し、それらの領域からエピソード時系列に関わる空間的活動パターンを、スパース機械学習アルゴリズム[4]を用いてデコード解読[5]しました。次に、海馬や背外側前頭前野に表象されている時系列情報が、扁桃体-腹内側前頭前野から形成される恐怖制御回路の活動パターンから解読できるかをデコード解析しました。このように、二重にデコード解析を重ねる手法を用いることにより、海馬や背外側前頭前野に表象された時系列情報が恐怖記憶回路に取り込まれる程度が、恐怖体験当日と翌日で異なるのかどうかを検証しました。次に、実際に実験で得られた結果を示します。解析の結果、まず、恐怖体験当日は、①記憶形成と②当日の双方のタイミングにおいて、海馬と背外側前頭前野が同程度に時系列パターン(時系列再現パターンと部分音再現パターンの表象)を恐怖制御回路に伝達していることがわかりました。しかし、③翌日テストでは、海馬がこの時系列伝達機能から退き、背外側前頭前野のみが時系列情報を伝達し続けることが明らかになりました。その他の複数の関連解析の結果から、海馬は恐怖体験に時間的に接近した最後の音に基づいた情報伝達を積極的に担うのに対して、背外側前頭前野は恐怖体験に固有な(複数の音から成る)時系列に基づいて恐怖記憶回路を制御する可能性が示唆されました。これらのことから、恐怖体験当日は、海馬が積極的に関与することによって、例え恐怖体験時の時系列が再現されなくとも、危険の時間的接近を示す刺激音と恐怖の単純な連合に基づいて過度に恐怖の対象が広げられると考えられます。一方、翌日には海馬が関与しなくなることで、恐怖体験の時系列が再体験されたかどうかに応じて背外側前頭前野が恐怖反応を制御できるようになり、適度に恐怖の対象が狭められると考えられます。
上述のように、恐怖体験の翌日には、背外側前頭前野がエピソード時系列に基づいて恐怖を制御するようになることが被験者全体の傾向から明らかになりました(図4)。しかし、こうした脳機序の経日変化は、被験者全員に一様に起こる訳ではありませんでした。特性不安(性格としての不安)が高い人ほどPSTD発症リスクが高いことが知られていますが、特性不安が高い被験者では、③翌日テストのタイミングにおいて、背外側前頭前野が恐怖制御回路を構成する腹内側前頭前野を(海馬と比べて)優位に制御しないことが明らかになりました。このことから、PTSD発症へのリスクが高い人では、あたかも恐怖体験当日のままのように恐怖記憶の熟成が止まり、エピソード時系列をうまく恐怖制御に反映できなくなる可能性が考えられます。
なお、不安特性と恐怖反応そのものの間の有意な相関は見られなかったことから、こうした解釈については今後さらに検証を重ねて妥当性を確かめる必要があります。
本研究は、恐怖体験の記憶が時間をかけて熟成する過程について、新たな知見を提供しました。従来研究では、「刺激と恐怖の強い連合学習を忘れられない」という現象と、「恐怖体験のエピソード時系列が思い出せない」という現象が交わることなく別々に研究されてきました。それに対し、本研究は、恐怖体験直後は強い連合学習に基づき過度に恐怖の対象を広げ、翌日にはエピソード時系列に基づいて適度に恐怖の対象を狭めるという新しい記憶の現象を明らかにしました。さらに、そうした恐怖記憶の熟成には、海馬に代わって背外側前頭前野が恐怖制御回路の制御をリードするという脳レベルでの変化が関与するというメカニズムも解明しました。これまで統合されてこなかった2種類の恐怖記憶現象を包括的に説明できるメカニズムを解明したことにより、PTSDなどの恐怖記憶の障害について、局所的な理解を脱してより大局的なメカニズムについての示唆を与えられたと言えます。
恐怖体験の記憶は、PTSDの発症に繋がる場合があります。本研究ではPTSD発症リスクが高い高不安者は、恐怖体験の翌日になっても恐怖記憶をエピソード時系列に基づき制御する背外側前頭前野の働きが相対的に弱いことが明らかになりました。この知見は、トラウマを体験した後、翌日を迎えるまでの時間窓を対象に、背外側前頭前野の機能を高める何らかの介入を施すことにより、恐怖記憶の熟成を促し、(恐怖体験当日に特徴的な)連合学習によって過度に恐怖の対象が広がった状態が長引くことを防げる可能性が期待できます。
前述のように、本技術には臨床的意義がありますが、現段階では、健常者を対象とした基礎研究の段階にあります。実生活において極度な恐怖記憶を形成された場合にも、本研究と同様のメカニズムが記憶の熟成を支えるのかどうかは、まだ今後検証していく必要があります。また、恐怖体験当日から翌日にかけての時間窓に、果たして脳内ではどのような記憶の処理が施されているのでしょうか?こうした、記憶を熟成させながら定着するメカニズムを検証するためには、安全と倫理に最大限配慮した上でさらにより直接的かつ侵襲的な研究手法も交えながら検証を重ねる必要があります。
論文著者名とタイトル
Nature Communications誌(英国時間・2024年10月21日10:00公開)
Aurelio Cortese, Ryu Ohata, Maria Alemany-González, Norimichi Kitagawa, Hiroshi Imamizu, Ai Koizumi: Time-dependent neural arbitration between cue associative and episodic fear memories. Nature Communications. DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-024-52733-4 (2024).
研究グループ *責任著者
株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR) Aurelio Cortese*
東京大学 大学院人文社会系研究科 心理学研究室 今水寛*、大畑龍
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 小泉愛*、Maria Alemany-González
立命館大学/吉賀心理学研究所 北川智利
研究支援
本研究は、JST【ムーンショット型研究開発事業】【JPMJMS20343198】の一環として実施したものです。
また研究参画者の一部は、以下の研究資金からの支援も部分的に受けています。
補足説明
[1] 連合記憶
一般的に、同時に体験した二つ以上の出来事を互いに結びつけて覚えることを連合記憶と呼びます。例えば、ベルの音を聞いたのと同時、またはその直後に怖い体験をすると、ベルと怖い体験が結び付けられて、ベルを聞いただけで怖い体験を想起するようになります。本研究では、このようなネガティブな体験による連合学習([6]の古典的条件付け参照)を対象としていますが、例えばチャイムを聞いたら給食を思い浮かべる、というように何らかの刺激と報酬を結びつけるようなポジティブな連合など、連合記憶にはいくつかの種類があります。
[2] エピソード記憶
一般的に、自分自身が経験したイベントにまつわる時系列を伴う記憶をエピソード記憶と呼びます(Tulving, 2002)。意識的に時系列を想起する場合もありますが、本研究では、必ずしも意識的な想起を伴わない、自身が体験したイベントの時系列の記憶を対象としています。
[3] 機能的磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging, fMRI)
酸化型と還元型ヘモグロビンの磁化率の違いを利用して、粗く言えば、脳全体の血流量の変化を画像化する技術です。酸化型と還元型ヘモグロビンの量の違いは脳活動の度合いを反映しているため、この画像を解析することで、各脳部位の活動度合いを推定することができます。
[4] スパース機械学習アルゴリズム
ATRとCiNetで開発された人工知能技術のひとつ(Yamashita et al., NeuroImage, 2008; Hirose et al., Journal of Neuroscience Methods, 2015)。計測したfMRIデータは、ボクセルとよばれる非常にたくさんのデータ点を含みます。しかし、すべてのボクセルが被験者の認知状態についての情報を持っているわけではありません。fMRIデータを用いて被験者の認知状態を精度よく推定するためには、この推定に関わるボクセルのみうまく選別する必要があります。スパースアルゴリズムを用いることによって、自動的かつ効率的にボクセルを選別することが可能になります。
[5] 脳活動パターン・デコード解析
空間的な脳活動パターンを解読(デコード)し、人の認知や知覚の状態を推定するモデルを用いた解析を一般的にデコード解析と呼びます。計測したfMRIデータは、ボクセルとよばれるたくさんのデータ点を含みます。それぞれのデータ点が、数ミリという脳内のごく小さなエリアの活動量を指し示しています。空間的脳活動パターンとは、そうした多数あるfMRIデータ点のうち、どのデータ点(エリア)が大きな値(脳活動を示す信号)を持ち、どのデータ点が小さな値を持つのか、という空間的な情報を指します。空間的脳活動パターンを解読(デコード)するために、近年では様々な人工知能アルゴリズムが提案されていますが、本研究では、効率的にデコード(解読)精度を上げられるスパース機械学習アルゴリズム[4]を用いています。
[6] 恐怖記憶を形成する古典的実験手法
本研究では、恐怖記憶を安全に形成する実験手法として、国内外の研究所で幅広く使われている方法(恐怖条件付け課題)を用いました。 この方法では、一般的に、本来は恐くない対象(図形など)を、微弱電流などの不快な出来事と同時に経験させます。その結果、その対象への恐怖反応が生じるようになります。この実験手法は、例えば赤い車と事故の衝撃を同時に経験することで、赤い車への恐怖反応が生じるようになる、というような実生活における恐怖記憶形成の過程を模したものであり、恐怖記憶についての基礎研究に大いに役立てられています。
お問い合わせ先
<研究内容に関すること>
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所広報窓口
E-mail: csl-pr@csl.sony.co.jp
<報道に関すること>
株式会社 国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 総務部 広報チーム
Tel: 0774-95-1176 Fax: 0774-95-1178
E-Mail:pr@atr.jp
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